068 心にも あらで憂き世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな

人生、時代
waka064

Vol.068 心に残るのは 

心にも

あらで憂き世に

ながらへば

恋しかるべき

夜半よはの月かな

三条院

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こころにも あらでうきよに ながら

上の句(読み札)

yomihuda_068 class=

下の句 決まり字

こひしかるへきよはのつきかな

ここ
ろに

【超訳】068 心に残るのは

月だけだよ。美しかったのなんて…… 

もうこの世に思い残すことなんてないのだが、もしまだ生きているのなら、今日の美しい月を思い出すのだろうな。

詠み人

三条院さんじょういん
  Sanjo-In
976 – 1017

第67代天皇。しかし藤原道長に退位を迫られ、在位5年で道長の孫にあたる後一条天皇に譲位。翌年出家し、同年崩御された。

雑感 About this waka poem

63番「いまはただ~」(どっちが幸せなのよ?)でご紹介した若い恋人たちを引き裂いた方です。彼女のお父様。

時の権力者、藤原道長に退位を迫られ、在位5年で道長の孫に譲位。翌年出家して同年に崩御されたそうです。不遇な人生だったけれど、月だけは美しい。そうやって月だけを眺めていたのかもしれません。この世に思い残すことなんてもうないけれど、月だけは美しいものだなぁと詠まれた歌です。天皇とはいえ、外戚の貴族の力が強大になってきて思うようにはならないことばかりだったのかもしれません。

くどいようですが、娘である内親王さまも想う恋人との仲を引き裂かれて、せつない想いで見上げていたかもしれませんよ? お月様。

 かえすがえすも、どうして引き裂いちゃったの? 
 お月様に伺ったら事情をご存知かしら? 

今回の一首

心に残るのは 

068

心にも あらで憂き世に ながらへば

恋しかるべき 夜半の月かな 


三条院

『後拾遺集』

 百人一首六十八首めでした。
 生涯にわたり不遇だったとされる三条院。見上げる月に何を想っていたのでしょうか。

 次は歌会合わせの「紅葉」のお題で詠まれた美しい秋の歌です。

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和歌番号順一覧(時代区分)

平安時代中期 ( 895 ~ 1068 )
平安時代後期 ( 1069 ~ 1184 )

約400年間の平安時代をおおまかに3つに分けています。

生没年不詳の歌人の和歌は主に活躍した時期に割り振りました。

 五十音順和歌一覧 

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和   歌 詠み人 和歌 no.
あ行 秋風に たなびく雲の 絶え間より   
 もれ出づる月の 影のさやけさ 
左京大夫顕輔079
秋の田の かりほの庵の とまをあらみ 
 わが衣手は 露に濡れつつ   
天智天皇  001
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら
 なほ恨めしき 朝ぼらけかな  
藤原道信朝臣052
浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど   
 あまりてなどか 人の恋しき  
参議等   039
朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに   
 吉野の里に 降れる白雪    
坂上是則  031
朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに   
 あらはれ渡る 瀬々の網代木  
権中納言定頼064
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の  
 ながながし夜を ひとりかも寝む
柿本人麻呂 003
淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に    
 いく夜も寝ざめぬ 須磨の関守 
源兼昌   078
逢ひみての 後の心に くらぶれば   
 昔は物を 思はざりけり    
権中納言敦忠043
逢ふことの 絶えてしなくば なかなかに
 人をも身をも 恨みざらまし  
中納言敦忠 044
天つ風 雲の通い路 吹きとぢよ    
 乙女の姿 しばしとどめむ   
僧正遍照  012
天の原 ふりさけ見れば 春日なる   
 三笠の山に 出でし月かも   
安倍仲麿  007
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 
 今ひとたびの 逢ふこともがな 
和泉式部  056
嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は    
 竜田の川の 錦なりけり    
能因法師  069
有明の つれなく見えし 別れより   
 暁ばかり 憂きものはなし   
壬生忠岑  030
有馬山 猪名の笹原 風吹けば     
 いでそよ人を 忘れやはする  
大弐三位  058
哀れとも いふべき人は 思ほえで   
 身のいたづらに なりぬべきかな
謙徳公   045
いにしへの 奈良の都の 八重桜    
 けふ九重に にほひけるかな  
伊勢大輔  061
今来むと 言ひしばかりに 長月の   
 有明の月を 待ち出でつるかな 
素性法師  021
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを  
 人づてならで いふよしもがな 
左京大夫道雅063
うかりける 人を初瀬の 山おろしよ  
 はげしかれとは 祈らぬものを 
源俊寄朝臣 074
恨みわび ほさぬ袖だに あるものを  
 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ 
相模    065
大江山 いく野の道の 遠ければ    
 まだふみも見ず 天の橋立   
小式部内侍 060
奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の    
 声聞くときぞ 秋は悲しき   
猿丸大夫  005
音に聞く 高師の浜の あだ波は    
 かけじや袖の 濡れもこそすれ 
祐子内親王 
家紀伊   
072
おほけなく うき世の民に おほふかな 
 わが立つ杣に 墨染めの袖   
前大僧正慈円095
思ひわび さても命は あるものを   
 憂きにたへぬは 涙なりけり  
道因法師  082
か行 かくとだに えやはいぶきの さしも草 
 さしもしらじな 燃ゆる思ひを 
藤原実方朝臣051
かささぎの 渡せる橋の 置く霜の   
 白きを見れば 夜ぞ更けにける 
中納言家持 006
風そよぐ ならの小川の 夕ぐれは   
 みそぎそ夏の しるしなりける 
従二位家隆 098
風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ  
 くだけて物を 思ふころかな  
源重之   048
君がため 春の野に出でて 若菜摘む  
 我が衣手に 雪は降りつつ   
光孝天皇  015
君がため 惜しからざりし 命さへ   
 長くもがなと 思ひけるかな  
藤原義孝  050
きりぎりす なくや霜夜の さむしろに 
 衣かたしき 独りかも寝む   
後京極摂政
前太政大臣
091
恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 
 人知れずこそ 思ひそめしか  
壬生忠見  041
心あてに 折らばや折らむ 初霜の   
 置きまどはせる 白菊の花   
凡河内躬恒 029
心にも あらで憂き世に 眺むれば   
 恋しかるべき 夜半の月かな  
三条院   068
来ぬ人を 松帆の浦の 夕なぎに    
 焼くや藻塩の 身もこがれつつ 
権中納言定家097
このたびは ぬさもとりあえず 手向山 
 紅葉の錦 神のまにまに    
菅家    024
これやこの 行くも帰るも 別れては  
 知るも知らぬも 逢坂の関   
蝉丸    010

 五十音順詠み人一覧 

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詠み人 和   歌 和歌 no.
あ行赤染衛門   やすらはで 寝なましものを 小夜更けて
 かたぶくまでの 月を見しかな 
059
安倍仲麿   天の原 ふりさけ見れば 春日なる   
 三笠の山に 出でし月かも   
007
在原業平朝臣 ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川   
 からくれなゐに 水くくるとは 
017
和泉式部   あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 
 今ひとたびの 逢ふこともがな 
056
伊勢     難波潟 短き蘆の 節の間も      
 逢はでこの世を 過ぐしてよとや
019
伊勢大輔   いにしへの 奈良の都の 八重桜    
 けふ九重に にほひけるかな  
061
殷富門院大輔 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも  
 濡れにぞ濡れし 色はかはらず 
090
右近     忘らるる 身をば思はず 誓ひてし   
 人の命の 惜しくもあるかな  
038
右大将道綱母 嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間に 
 いかに久しき ものとかは知る 
053
恵慶法師   八重葎 しげれる宿の さびしきに   
 人こそ見えね 秋は来にけり  
047
大江千里   月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ  
 わが身ひとつの 秋にはあらねど
023
凡河内躬恒  心あてに 折らばや折らむ 初霜の 
 置きまどはせる 白菊の花    
029
大中臣能宣朝臣 みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえ 
 昼は消えつつ 物をこそ思へ  
049
小野小町   花の色は 移りにけりな いたづらに  
 わが身世にふる ながめせしまに
009
か行柿本人麻呂  あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の  
 ながながし夜を ひとりかも寝む
003
鎌倉右大臣  世の中は 常にもがもな 渚こぐ    
 あまの小舟の 綱手かなしも  
093
河原左大臣  陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに   
 乱れそめにし 我ならなくに  
014
菅家     このたびは ぬさもとりあえず 手向山 
 紅葉の錦 神のまにまに    
024
喜撰法師   わが庵は 都のたつみ しかぞ住む   
 世をうぢ山と 人は言ふなり  
008
儀同三司母  忘れじの 行末までは かたければ   
 今日を限りの 命ともがな   
054
紀貫之    人はいさ 心も知らず ふるさとは   
 花ぞ昔の 香ににほひける   
035
紀友則    ひさかたの 光のどけき 春の日に   
 しづこころなく 花の散るらむ 
033
清原深養父  夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを  
 雲のいづこに 月宿るらむ   
036
清原元輔   契りきな かたみに袖を しぼりつつ 
 末の松山 波こさじとは    
042
謙徳公    哀れとも いふべき人は 思ほえで   
 身のいたづらに なりぬべきかな
045
皇嘉門院別当 難波江の 蘆のかりねの 一夜ゆゑ   
 みをつくしてや 恋わたるべき 
088
光孝天皇   君がため 春の野に出でて 若菜摘む  
 我が衣手に 雪は降りつつ   
015
皇太后宮大夫
俊成    
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る   
 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる   
083
後京極摂政 
前太政大臣 
きりぎりす なくや霜夜の さむしろに 
 衣かたしき 独りかも寝む   
091
小式部内侍  大江山 いく野の道の 遠ければ    
 まだふみも見ず 天の橋立   
060
後徳大寺  
左大臣   
ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば  
 ただ有明の 月ぞ残れる    
081
後鳥羽院   人もをし 人もうらめし あぢきなく  
 世を思ふゆゑに もの思ふ身は 
099
権中納言敦忠 逢ひみての 後の心に くらぶれば   
 昔は物を 思はざりけり    
043
権中納言定頼 朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに   
 あらはれ渡る 瀬々の網代木  
064
権中納言定家 来ぬ人を 松帆の浦の 夕なぎに    
 焼くや藻塩の 身もこがれつつ 
097
権中納言匡房 高砂の 尾の上の桜 咲きにけり    
 外山の霞 立たずもあらなむ  
073
さ行西行法師   嘆けとて 月やはものを 思はする   
 かこち顔なる わが涙かな   
086
坂上是則   朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに   
 吉野の里に 降れる白雪    
031
相模     恨みわび ほさぬ袖だに あるものを  
 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ 
065
前大僧正慈円 おほけなく うき世の民に おほふかな 
 わが立つ杣に 墨染めの袖   
095
左京大夫顕輔 秋風に たなびく雲の 絶え間より   
 もれ出づる月の 影のさやけさ 
079
左京大夫道雅 今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを  
 人づてならで いふよしもがな 
063
猿丸大夫   奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の    
 声聞くときぞ 秋は悲しき   
005
参議篁    わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 
 人には告げよ 海人の釣舟   
011
参議等    浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど   
 あまりてなどか 人の恋しき  
039
参議雅経   み吉野の 山の秋風 小夜更けて    
 ふるさと寒く 衣うつなり   
094
三条院    心にも あらで憂き世に 眺むれば   
 恋しかるべき 夜半の月かな  
068
三条右大臣  名にしおはば 逢坂山の さねかづら  
 人に知られで くるよしもがな 
025
持統天皇   春過ぎて 夏来にけらし 白妙の    
 衣ほすてふ 天の香久山    
002
寂蓮法師   村雨の 露もまだひぬ 真木の葉に   
 霧立ち上る 秋の夕暮れ    
087
従二位家隆  風そよぐ ならの小川の 夕ぐれは   
 みそぎそ夏の しるしなりける 
098
俊恵法師   よもすがら もの思ふころは 明けやらで
 ねやのひまさへ つれなかりけり
085
順徳院    百敷や 古き軒端の しのぶにも     
 なほあまりある 昔なりけり  
100
式子内親王  玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 
 忍ぶることの 弱りもぞする  
089
周防内侍   春の夜の 夢ばかりなる 手枕に    
 かひなく立たむ 名こそ惜しけれ
067
崇徳院    瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の   
 われても末に 逢はむとぞ思ふ 
077
清少納言   夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも 
 よに逢坂の 関はゆるさじ   
062
蝉丸     これやこの 行くも帰るも 別れては  
 知るも知らぬも 逢坂の関   
010
僧正遍照   天つ風 雲の通い路 吹きとぢよ    
 乙女の姿 しばしとどめむ   
012
素性法師   今来むと 言ひしばかりに 長月の   
 有明の月を 待ち出でつるかな 
021
曽禰好忠   由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え   
 行方も知れぬ 恋の道かな   
046
た行待賢門院堀河 ながからむ 心も知らず 黒髪の    
 みだれてけさは ものをこそ思へ
080
大僧正行尊  もろともに あはれと思へ 山桜    
 花よりほかに 知る人もなし  
066
大納言公任  滝の音は 絶えて久しく なりぬれど  
 名こそ流れて なほ聞こえけれ 
055
大納言経信  夕されば 門田の稲葉 おとづれて   
 蘆のまろやに 秋風ぞ吹く   
071
大弐三位   有馬山 猪名の笹原 風吹けば     
 いでそよ人を 忘れやはする  
058
平兼盛    忍ぶれど 色に出にけり わが恋は   
 ものや思ふと 人の問ふまで  
040
中納言朝忠  逢ふことの 絶えてしなくば なかなかに
 人をも身をも 恨みざらまし  
044
中納言兼輔  みかの原 わきて流るる いづみ川   
 いつ見きとてか 恋しかるらむ 
027
中納言行平  立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる  
 まつとしきかば 今帰り来む  
016
中納言家持  かささぎの 渡せる橋の 置く霜の   
 白きを見れば 夜ぞ更けにける 
006
貞信公    小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば    
 今ひとたびの みゆき待たなむ 
026
天智天皇   秋の田の かりほの庵の とまをあらみ 
 わが衣手は 露に濡れつつ   
001
道因法師   思ひわび さても命は あるものを   
 憂きにたへぬは 涙なりけり  
082
な行二条院讃岐  わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の   
 人こそ知らね 乾く間もなし  
092
入道    
前太政大臣 
花さそふ 嵐の庭の 雪ならで     
 ふりゆくものは わが身なりけり
096
能因法師   嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は    
 竜田の川の 錦なりけり    
069
は行春道列樹   山川に 風のかけたる しがらみに   
 流れもあへぬ 紅葉なりけり  
032
藤原興風   誰をかも 知る人にせむ 高砂の    
 松も昔の 友ならなくに    
034
藤原清輔朝臣 ながらへば またこのごろや しのばれむ
 憂しと見し世ぞ 今は恋しき  
084
藤原実方朝臣 かくとだに えやはいぶきの さしも草 
 さしもしらじな 燃ゆる思ひを 
051
藤原敏行朝臣 住之江の 岸による波 よるさへや   
 夢の通い路 人目よくらむ   
018
藤原道信朝臣 明けぬれば 暮るるものとは 知りながら
 なほ恨めしき 朝ぼらけかな  
052
藤原基俊   契りおきし させもが露を 命にて   
 あはれ今年の 秋もいぬめり  
075
藤原義孝   君がため 惜しからざりし 命さへ   
 長くもがなと 思ひけるかな  
050
文屋朝康   白露に 風の吹きしく 秋の野は    
 つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける 
037
文屋康秀   吹くからに 秋の草木の しをるれば  
 むべ山風を あらしといふらむ 
022
法性寺入道
前関白太政大臣
わたの原 漕ぎ出でてみれば 久方の  
 雲居にまがふ 沖つ白波    
076
ま行源兼昌    淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に    
 いく夜も寝ざめぬ 須磨の関守 
078
源重之    風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ  
 くだけて物を 思ふころかな  
048
源俊寄朝臣  うかりける 人を初瀬の 山おろしよ  
 はげしかれとは 祈らぬものを 
074
源宗于朝臣  山里は 冬ぞ寂しき まさりける    
 人目も草も かれぬと思へば  
028
壬生忠見   恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 
 人知れずこそ 思ひそめしか  
041
壬生忠岑   有明の つれなく見えし 別れより   
 暁ばかり 憂きものはなし   
030
紫式部    めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に
 雲がくれにし 夜半の月かな  
057
元良親王   わびぬれば 今はた同じ 難波なる   
 みをつくしても 会はむとぞ思う
020
や行山部赤人   田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 
 富士の高嶺に 雪は降りつつ  
004
祐子内親王 
家紀伊   
音に聞く 高師の浜の あだ波は    
 かけじや袖の 濡れもこそすれ 
072
陽成院    筑波嶺の みねより落つる みなの川  
 恋ぞつもりて 淵となりぬる  
013
ら行良暹法師   寂しさに 宿を立ち出でて 眺むれば  
 いづこも同じ 秋の夕暮れ   
070

 決まり字順一覧 

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あけ 明けぬれば 暮るるものとは 知りながら
 なほ恨めしき 朝ぼらけかな  
藤原道信朝臣052
あし あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の  
 ながながし夜を ひとりかも寝む 
柿本人麻呂 003
あひ 逢ひみての 後の心に くらぶれば   
 昔は物を 思はざりけり    
権中納言敦忠043
いに いにしへの 奈良の都の 八重桜    
 けふ九重に にほひけるかな  
伊勢大輔  061
うか うかりける 人を初瀬の 山おろしよ  
 はげしかれとは 祈らぬものを 
源俊寄朝臣 074
うら 恨みわび ほさぬ袖だに あるものを  
 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ 
相模    065
おく 奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の    
 声聞くときぞ 秋は悲しき   
猿丸大夫  005
おと 音に聞く 高師の浜の あだ波は    
 かけじや袖の 濡れもこそすれ 
祐子内親王 
家紀伊   
072
おも 思ひわび さても命は あるものを   
 憂きにたへぬは 涙なりけり  
道因法師  082
かく かくとだに えやはいぶきの さしも草 
 さしもしらじな 燃ゆる思ひを 
藤原実方朝臣051
かさ かささぎの 渡せる橋の 置く霜の   
 白きを見れば 夜ぞ更けにける 
中納言家持 006
きり きりぎりす なくや霜夜の さむしろに 
 衣かたしき 独りかも寝む   
後京極摂政 
前太政大臣 
091
こぬ 来ぬ人を 松帆の浦の 夕なぎに    
 焼くや藻塩の 身もこがれつつ 
権中納言定家097
この このたびは ぬさもとりあえず 手向山 
 紅葉の錦 神のまにまに    
菅家    024
こひ 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 
 人知れずこそ 思ひそめしか  
壬生忠見  041
これ これやこの 行くも帰るも 別れては  
 知るも知らぬも 逢坂の関   
蝉丸    010
しの 忍ぶれど 色に出にけり わが恋は   
 ものや思ふと 人の問ふまで  
平兼盛   040
しら 白露に 風の吹きしく 秋の野は    
 つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける 
文屋朝康  037
たか 高砂の 尾の上の桜 咲きにけり    
 外山の霞 立たずもあらなむ  
権中納言匡房073
たき 滝の音は 絶えて久しく なりぬれど  
 名こそ流れて なほ聞こえけれ 
大納言公任 055
たご 田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 
 富士の高嶺に 雪は降りつつ  
山部赤人  004
たち 立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる  
 まつとしきかば 今帰り来む  
中納言行平 016
たま 玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 
 忍ぶることの 弱りもぞする  
式子内親王 089
たれ 誰をかも 知る人にせむ 高砂の    
 松も昔の 友ならなくに    
藤原興風  034
ちは ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川   
 からくれなゐに 水くくるとは 
在原業平朝臣017
つき 月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ  
 わが身ひとつの 秋にはあらねど
大江千里  023
つく 筑波嶺の みねより落つる みなの川  
 恋ぞつもりて 淵となりぬる  
陽成院   013
なつ 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを  
 雲のいづこに 月宿るらむ   
清原深養父 036
ひさ ひさかたの 光のどけき 春の日に   
 しづこころなく 花の散るらむ 
紀友則   033
みせ 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも  
 濡れにぞ濡れし 色はかはらず 
殷富門院大輔090
みち 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに   
 乱れそめにし 我ならなくに  
河原左大臣 014
みよ み吉野の 山の秋風 小夜更けて    
 ふるさと寒く 衣うつなり   
参議雅経  094
もも 百敷や 古き軒端の しのぶにも     
 なほあまりある 昔なりけり  
順徳院   100
もろ もろともに あはれと思へ 山桜    
 花よりほかに 知る人もなし  
大僧正行尊 066
やえ 八重葎 しげれる宿の さびしきに   
 人こそ見えね 秋は来にけり  
曽禰好忠  047
やす やすらはで 寝なましものを 小夜更けて
 かたぶくまでの 月を見しかな 
赤染衛門  059
ゆふ 夕されば 門田の稲葉 おとづれて   
 蘆のまろやに 秋風ぞ吹く   
大納言経信 071
ゆら 由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え   
 行方も知れぬ 恋の道かな   
恵慶法師  046
よも よもすがら もの思ふころは 明けやらで
 ねやのひまさへ つれなかりけり
俊恵法師  085
よを 夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも 
 よに逢坂の 関はゆるさじ   
清少納言  062
わび わびぬれば 今はた同じ 難波なる   
 みをつくしても 会はむとぞ思う
元良親王  020
をぐ 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば    
 今ひとたびの みゆき待たなむ 
貞信公   026
あきか 秋風に たなびく雲の 絶え間より   
 もれ出づる月の 影のさやけさ 
左京大夫顕輔079
あきの 秋の田の かりほの庵の とまをあらみ 
 わが衣手は 露に濡れつつ   
天智天皇001
あさぢ 浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど   
 あまりてなどか 人の恋しき  
参議等039
あはぢ 淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に    
 いく夜も寝ざめぬ 須磨の関守 
源兼昌   078
あはれ 哀れとも いふべき人は 思ほえで   
 身のいたづらに なりぬべきかな
謙徳公   045
あふこ 逢ふことの 絶えてしなくば なかなかに
 人をも身をも 恨みざらまし  
中納言朝忠044
あまつ 天つ風 雲の通い路 吹きとぢよ    
 乙女の姿 しばしとどめむ   
僧正遍照  012
あまの 天の原 ふりさけ見れば 春日なる   
 三笠の山に 出でし月かも   
安倍仲麿  007
あらざ あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 
 今ひとたびの 逢ふこともがな 
和泉式部  056
あらし 嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は    
 竜田の川の 錦なりけり    
能因法師  069
ありあ 有明の つれなく見えし 別れより   
 暁ばかり 憂きものはなし   
壬生忠岑  030
ありま 有馬山 猪名の笹原 風吹けば     
 いでそよ人を 忘れやはする  
大弐三位  058
いまこ 今来むと 言ひしばかりに 長月の   
 有明の月を 待ち出でつるかな 
素性法師  021
いまは 今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを  
 人づてならで いふよしもがな 
左京大夫道雅063
おほえ 大江山 いく野の道の 遠ければ    
 まだふみも見ず 天の橋立   
小式部内侍 060
おほけ おほけなく うき世の民に おほふかな 
 わが立つ杣に 墨染めの袖   
前大僧正慈円095
かぜそ 風そよぐ ならの小川の 夕ぐれは   
 みそぎそ夏の しるしなりける 
従二位家隆 098
かぜを 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ  
 くだけて物を 思ふころかな  
源重之  048
ながか ながからむ 心も知らず 黒髪の    
 みだれてけさは ものをこそ思へ
待賢門院堀河080
ながら ながらへば またこのごろや しのばれむ
 憂しと見し世ぞ 今は恋しき  
藤原清輔朝臣084
なげき 嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間に 
 いかに久しき ものとかは知る 
右大将道綱母053
なげけ 嘆けとて 月やはものを 思はする   
 かこち顔なる わが涙かな   
西行法師  086
なにし 名にしおはば 逢坂山の さねかづら  
 人に知られで くるよしもがな 
三条右大臣 025
はなさ 花さそふ 嵐の庭の 雪ならで     
 ふりゆくものは わが身なりけり
入道    
前太政大臣 
096
はなの 花の色は 移りにけりな いたづらに  
 わが身世にふる ながめせしまに
小野小町  009
はるす 春過ぎて 夏来にけらし 白妙の    
 衣ほすてふ 天の香久山    
持統天皇  002
はるの 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に    
 かひなく立たむ 名こそ惜しけれ
周防内侍  067
ひとは 人はいさ 心も知らず ふるさとは   
 花ぞ昔の 香ににほひける   
紀貫之   035
ひとも 人もをし 人もうらめし あぢきなく  
 世を思ふゆゑに もの思ふ身は 
後鳥羽院   099
みかき みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえ 
 昼は消えつつ 物をこそ思へ  
大中臣能宣
朝臣
049
みかの みかの原 わきて流るる いづみ川   
 いつ見きとてか 恋しかるらむ 
中納言兼輔 027
やまが 山川に 風のかけたる しがらみに   
 流れもあへぬ 紅葉なりけり  
春道列樹032
やまざ 山里は 冬ぞ寂しき まさりける    
 人目も草も かれぬと思へば  
源宗于朝臣 028
わがい わが庵は 都のたつみ しかぞ住む   
 世をうぢ山と 人は言ふなり  
喜撰法師  008
わがそ わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の   
 人こそ知らね 乾く間もなし  
二条院讃岐 092
わすら 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし   
 人の命の 惜しくもあるかな  
右近    038
わすれ 忘れじの 行末までは かたければ   
 今日を限りの 命ともがな   
儀同三司母 054

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